水稲栽培

日本人には切っても切り離せない食べ物「お米」

大自然の中で自由に生活を目指し、農家の道を進み

お米をつくることを決断した永野義典さん(42)にお話を伺いました。

時代はIT革命

静岡県裾野市出身の永野さん。

永野さんの高校生時代は、当時「IT革命」という言葉が飛び交っていた時期で

3年生の進路を考える時期、どうしようか考えた結果

勉強するならコンピューターだ!と思い、上京してコンピューターの専門学校に進学しました。

卒業後もそのまま東京でコンピューター関連の会社に就職したそうです。

人間らしい生活とは

永野さんの母方のご実家が福島県で兼業農家でお米をつくっていたそうで

幼い時、夏休みなどに長い期間、田んぼや畑に囲まれた環境の中で、農作業を遊び半分で手伝ったり

機械に乗せてもらったことがとても楽しく、「こういう生活をしたい」という

潜在意識があったものの現実的には考えず、やるなら老後かな~なんて考えていたそうです。

そのようなベースがありながら5年間サラリーマンとして働いていて

体を動かさない、季節感や時間感覚がない、東京という無機質な土地の中で

ずっと生活することに違和感を感じるようになりました。

祖父母の家での原体験がベースとして常にあったため

太陽と同じサイクルで、季節を感じて、自然という思い通りにならないものを相手にする

職業として「農業」にしっかり向き合い、サラリーマンという職業に別れを決意したそうです。

大自然=北海道

農業をやることを決意した永野さんですが、大自然の中で大きく農業をしたいという思いがあったそうで

大自然=北海道、農業といえば北海道、という考えがあり北海道に行くことを決意しました。

といっても北海道に知り合いがいるわけでもなく、ココに行きたい!というのもなくどうしようか考えていた時

永田町(東京都)にある都道府県会館で「農業をやりたい」と相談したそうです。

公益財団法人都道府県センター https://www.tkai.jp/

そこで「深川市にある『拓殖大学北海道短期大学(以後、拓大)』には

社会人を対象にした農業を学ぶカリキュラムの(当時)新規就農コースがある」と紹介してもらいました。

このコースは研修をメインとしていたため、学費はかからず、研修中も研修手当がもらえたそうです。

そこで農業の基本を学びながら、何をつくるか、どこで農業をするのか決めていくことにしました。

拓殖大学北海道短期大学 https://www.takushoku-hc.ac.jp/

雨竜町との出会い

拓大に入学して農業について学びを深めていく永野さん。

授業の一環で何名かの農家さんが講話しにくることがあったそうです。

そのうちの一人に雨竜町で稲作や農業研修受け入れなど行い、大規模に経営をしている

合同会社 共栄ファームの佐々木 芳雄さんと出会いました。

JAきたそらちで農業を始めませんか! 合同会社 共栄ファーム|きたそたち農業協同組合
http://www.ja-kitasorachi.com/farmer/training_farmers_information08.html

農業には大きく土地を買ったり借りたりして経営をする「土地利用型」と

主にハウスを使って経営する比較的投資が少ない「施設園芸」の2種類があります。

前述したように北海道の広い環境下で農業をやりたいという気持ちをもっていた永野さんは

「土地利用型」で大規模にやっている佐々木さんの経営スタイルだけでなく

人柄、人格に惹かれ、研修に行くことにしました。

「雨竜町で農業やる気なら、新規就農するまでバックアップするよ」と

佐々木さんから言っていただいた永野さんは

拓大卒業後、さらに2年間の研修を佐々木さんのもとで行い、2010年に新規就農(独立)をしました。

ご自宅前から見える景色

新規就農と結婚

農家というと夫婦や両親など家族経営しているイメージがあるかもしれません。

無事に新規就農を迎えた永野さんは、独立した後も佐々木さんらと共同で仕事をしています。

どういうことか聞いてみると

「播種、田植え、稲刈りの作業する際に人手・労力、機械、施設が必要な状況の時に

グループでやることで効率よく進めることができる」とのこと。

田植え時期など人手がほしいとき、家族経営だと人員確保が難しくても

グループでやることで人員不足解消につながるということですね。

また、田植え機などの大型機械も簡単に買える額ではないので、共同購入して利用時期をずらしていけば

出資額も減るので、「農業」という職を選びやすくなりますね。

就農して少ししてから、江別市出身の志津子さんと出会い、意気投合して2012年に結婚しました。

現在は7歳の息子さんと5歳の娘さんの4人で暮らしています。

そんな志津子さんも結婚を機に、義典さんと同じく

拓大 農学ビジネス学科に社会人枠で入学して農業を学びます。

志津子さんは拓大で花卉園芸を学び、卒業後は義典さんの協力を得て

ヒマワリの栽培を始め、切り花として出荷しています。

夏場は育苗ハウスがヒマワリハウスへ

これから新規就農する方へ

「お米が好きな自分にとっては、雨竜町は「田園の里」というくらい水田が広がる景色がきれいで
雨竜沼湿原という大自然も近くにあって、とても魅力的です。
生活するにあたっては、広い北海道の中では都市部へのアクセスも比較的良いです。
買い物など田舎の不便さはインターネットを使って解消しています。」

と北海道へ移住する思いをもっていた永野さんはこう語ってくれました。

また、農業をする面では「施設園芸よりも防除(病害虫対策)などの管理や田んぼへの水を使うときに
自分さえ良ければいいということはないので『協調性や地域とのつながり』が大事になってくると思います。」

農業をやっていく上で、地域との関係性は切っても切り離せないですね。

※年齢などは取材当時のものを記載しています。

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